2014年09月04日

『テロ、ライブ』

監督・脚本:キム・ビョンウ
出演:ハ・ジョンウ、イ・ギョンヨン、チョン・ヘジン、キム・ホンパ、ほか
英題:THE TERROR, LIVE
2013年韓国

ハ・ジョンウが出ずっぱりの映画と聞いて、これは観に行かなくてはと、大いに期待しつつ映画館に足を運んだ。これが大変スリリングで面白く、ハ・ジョンウの演技力と脚本の面白さが相まって、非常に楽しめる作品だった。

ユン・ヨンファ(ハ・ジョンウ)は、かつてテレビの国民的アナウンサーだったが、不祥事のため、ラジオ局に左遷された男。ある日の番組中、リスナーとの電話コーナーに、ソウルの中心にある漢江にかかる麻浦(まぽ)大橋に爆薬を仕掛けたという電話が入る。いたずらと思ったヨンファが取り合わないでいると、局の窓から見える麻浦大橋が実際に爆発する。犯人はまだ他にも爆弾を仕掛けてあると言う。これはテロだと確信したヨンファは、犯人との電話のやり取りをテレビ生中継しようと目論む。大スクープで視聴率が取れたらテレビのキャスターに復帰させるよう元上司である報道局長(イ・ギョンヨン)に交渉し、一世一代の犯人との電話交渉ライブ中継が始まる。犯人の要求は多額の金銭と大統領の謝罪(国の不手際で父親が死んだことを恨みに思っている)だ。犯人はテレビ局の動向をしっかり把握しており、ヨンファの耳にあるイヤーモニターにも爆弾を仕掛けてあると言う。爆破された橋の一部に取り残された一般人たちの運命はどうなるのか。いったい犯人は何者なのか。大統領は謝罪に来るのか。

監督・脚本担当のキム・ビョンウは若干32歳で、これが商業デビュー映画だそうだ。韓国で各映画賞を授賞した手腕は驚くべきものがある。特に脚本がうまい。ほとんどがテレビ局のスタジオ内でストーリーが展開し、まるでワンシーン・ワンカットのような印象を与えるが、まったく飽きることがない。ヨンファの野心と良心と恐怖のあいだで揺れ動く心が見ものだ。

同じようにテレビ局内だけでストーリーが展開する「フジテレビNEXT」の開局記念連続ドラマ『ニュース速報は流れた』(2009年)も面白かったが、あちらは群像劇だった。『テロ、ライブ』は、有名な橋の爆破という派手な映像と、ハ・ジョンウの孤軍奮闘によって、テレビ局内部の人間関係や、醜い視聴率至上主義や、裏側に潜む陰謀や、果ては国家の資質まで暴き出してゆき、奥深いエンターテインメントになっている。

助演陣では、報道局長を演じるイ・ギョンヨンとジュ長官を演じるキム・ホンパが、いかにもというステレオタイプな嫌なヤツを受け持っている。警察のテロ対策チーム長パク・ジョンミンを演じたチョン・ヘジンと、ヨンファの元妻でテレビ局記者のイ・ジスを演じたキム・ソジンという二人の女優さんがとても良かった。

本当に面白かった映画には、あれこれ感想を述べなくてもいいやと思ってしまうのだが、ひとつだけ気になったことがある。犯人役の俳優さんの風貌がちょっと拍子抜けだったのである。

(2014.9.2 ヒューマントラストシネマ渋谷にて)

映画公式サイト
posted by すいっち at 11:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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