2009年12月12日

舞台『マレーヒルの幻影』

作・演出:岩松了
出演:麻生久美子、ARATA、三宅弘城、荒川良々、市川実和子/松重 豊

麻生久美子とARATAが初舞台で共演、しかも岩松了・作という情報を夏に知り、ずっと楽しみにしていたのだが、びっくりするほど良い席のチケットが取れ、昨日観に行ってきた。本多劇場のロビーに入ると、わーっと花の香りに包まれる。ものすごい数の贈答花が並んでいる。15分の休憩を間にはさんで約3時間の公演。最近ちっとも芝居を観ていなかった私にとっては、スクリーンで見慣れた方々が目の前を行き来するのは、ちょっと信じられないような異次元空間の趣だ。

スコット・フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』に想を得て、1929年のニューヨークを舞台に、この街で暮らす日本人たちそれぞれが抱える複雑な内面を描いた作品である。『グレート・ギャツビー』でのギャツビーがARATA演じるソトオカ、デイジーが麻生久美子演じる三枝子ということになるが、小説ではこの二人を客観的に眺める視点から描いているのに対し、岩松作品は二人の関係を中心に据えている。程度の多少はあるにせよ、どこかしら心を病んだ人間が登場するところは、いかにもフィッツジェラルドの雰囲気だ。これに加えて、決して真の善人として人を描かない岩松テイストが、それぞれの登場人物に深みを添えている。ただ私にはソトオカと三枝子の、言ってみればシンプルな話に、周囲の人間たちそれぞれの個性がしっかり絡みついているようには見えなかった。そのため、前半は退屈で、後半になって人間関係が少し整理されてやっと居心地がややよくなった感がある。そして、かなりシリアスな話なのに、ところどころ笑いの要素を入れるセンスが私にはどうもわからない。面白かったかと問われれば、うーん…という程度。

麻生久美子は、贔屓目もあるだろうがまずまず良かったと思う。身のこなしの美しい市川実和子ほどの迫力はないが、複雑な三枝子という人間像がよく理解できた。終盤での衣装が実によく似合って美しかった。ARATAはもっと個性的でもよかったのではないか?せっかく素敵なスーツに身を包みながら、気取りがなさすぎた気もする。

畳み掛ける早口の台詞、誰もが闊歩するように舞台上を行き過ぎるのは、演出の意図なのだろうか?大恐慌を目前にした不穏な時代をあらわすためのテンポなのかも知れないが、どうもあのせかせか感がピンとこなかった。

☆内緒話→会場では、田中哲司さんのお姿をお見かけした。気さくにふらっと立ち寄ったといった雰囲気で、スクリーンやテレビで見るより若い方だなという印象だった。

(2009.12.11 本多劇場にて)

森崎事務所・作品ページ
posted by すいっち at 15:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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