2013年09月22日

『ランナウェイ/逃亡者』試写会

監督・製作:ロバート・レッドフォード
原作:ニール・ゴードン著「ランナウェイ/逃亡者」(ハヤカワ文庫刊)
出演:ロバート・レッドフォード、シャイア・ラブーフ、ジュリー・クリスティ、スーザン・サランドン、ニック・ノルティ、クリス・クーパー、テレンス・ハワード、リチャード・ジェンキンス、スタンリー・トゥッチ、アナ・ケンドリック、ジャッキー・エヴァンコ、ブリット・マーリング、ほか
原題:The Comapny You Keep
2012年アメリカ

錚々たるキャストが名前を連ねる作品なので、試写会に応募したものの、邦題の陳腐さ(ランナウェイと聞くと、どうしても歌のタイトルを思い出してしまうし、逃亡者も昔の映画のタイトルだし)のために、あまり内容には期待していなかった。ところが、これが大変面白い…いや、面白いというのはちょっと違う…ひたひたと心に迫ってくる見応えのある作品だった。派手な銃撃戦やカーチェイスや暴力も何もないが、真相に迫ってゆくストーリー展開の面白さに、これは上級のサスペンスだと思えた。

1969年のアメリカ、国民の望まないベトナム戦争に邁進する政府に抗議するため、過激派グループが連続爆破テロをおこなった。このグループ“ウェザーマン”のメンバーたちはFBIの最重要指名手配リストに載るが、忽然と姿を消した。30年経って突然メンバーのひとりシャロン・ソラーズ(スーザン・サランドン)が逮捕される。新聞記者のベン(シャイア・ラブーフ)は再び注目されたこの問題を取材するうちに、ある男にたどり着く。それは善良な市民・弁護士として、静かに一人娘と暮らすジム・グラント(ロバート・レッドフォード)という人物だ。ジムは、ベンとFBIの双方から追われることになる。愛する11歳の娘イザベル(ジャッキー・エヴァンコ)を実弟のダニエル(クリス・クーパー)に預けてまで、なぜジムは逃げ、何をしようとするのか。30年間守り続けた彼の秘密とは何か。

ベトナム反戦運動の時代を知らない人には、60年代70年代の世相がピンと来ないかも知れない。しかし、当時過激派グループにとって正義が何であったかについては、現役の新聞記者ベンにもよくわかっていない。むしろ、それにほとんど関心がない。彼は単にFBIが血眼になって行方を追い続けている爆破テロの犯人たちをつきとめたという興奮と、特ダネをものにしたい野心とでジムに接触する。その彼も、ジムが守ってきた秘密に触れたとき、自分の中に何か違うものが生まれたことを自覚する。そのベンの心境の変化を、シャイア・ラブーフは実に自然に演じている。オーバーでなく、陳腐でなく、その瞳にたたえられたニュアンスの微妙な変化が素晴らしい。

ロバート・レッドフォードについては、若かりし時代の美男俳優の印象があまりに強いため、年取ったなあというのが第一印象で、ジム役には少々年を取りすぎかなという気がする。ただし、監督としてのレッドフォードはやはり素晴らしいと思う。これだけの豪華キャストをひとりひとり丁寧に描いて過不足がない。この映画では、キャストそれぞれが非常に印象的で、さすが名優たちを揃えただけのことはあると、感嘆するばかりだが、私が一番良かったと思うのは、スーザン・サランドンだ。拘留中ということで、ただ椅子に座って、面会者と喋るシーンだけなのだが、その表情を見ていると胸に迫ってくるものがある。ミミ・ルーリーを演じるジュリー・クリスティは、未だに美しく素敵だった。ジムの弟役を演じるクリス・クーパーもカッコ良くて注目したし、日本の公式サイトには名前のないサム・エリオットも個性的でよかった。

似ても似つかない邦題になってしまっているが、原題の"The Company You Keep"は「今も大事にしている仲間」といった意味だろうか。このcompanyが集合的に複数の人たちを指しているのか、特定の個人を指しているのかは微妙なところが、私は前者かなと思っている。

(2013.9.20 なかのZERO大ホールにて)

映画公式サイト
posted by すいっち at 10:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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