2013年12月08日

『愛しのフリーダ』

製作/監督:ライアン・ホワイト
原題:Good Ol' Freda
2013年アメリカ、イギリス

副題には「ザ・ビートルズと過ごした11年間」とある。17歳のときに、ザ・ビートルズのマネージャー、ブラインアン・エプスタインに雇われ、一ファンからバンドの秘書的存在になり、彼らや彼らの家族から、身内同然に可愛がられたフリーダ・ケリーの11年間と今を追ったドキュメンタリー映画である。

ザ・ビートルズをリアルタイムで知る人々にはもちろん、そうでない世代の人にも十分に共感を持ってもらえるはずの、一人の誠実な魅力的な女性が描かれた作品だ。私はかなりのザ・ビートルズフリークであったにもかかわらず、フリーダという人の存在は知らなかった。彼女は、決して表に出ることはなく、度重なるバンドについてのインタビューや、執筆要請もすべて断り続けてきた。さらに所有していた膨大な量のバンドに関する資料や貴重な品を、一つたりともお金に換えようとはしなかったのである。バンドのプライバシーを守るということを本当の意味で実践した人なのだ。だからこの映画でも、少しはバンドの知られざる過去を明かしてはいるものの、暴露というような内容はいっさいなく、メンバーの個人生活にかかわることには口を閉ざしている。どれだけザ・ビートルズを愛し、尊敬していたかが彼女のこの姿勢にはっきりとあらわれている。

フリーダは、最初はキャバーン・クラブに入り浸ってザ・ビートルズにのめり込む一人のファンの少女だった。当時のことを語るフリーダは、掛け値なしに本当に楽しそうで、よい青春時代を過ごしたことがスクリーンから直に伝わってくる。彼女は、自分にもそういう楽しい人生があったことを孫に知ってもらいたくて、この映画でのインタビューをOKしたのだそうだ。あれほど世界的に有名になり、世界各国のファンに愛されたバンドの秘書だったにもかかわらず、彼女は終始奢ることも威張ることもなく、謙虚に忠実に誠実に、そして明るく朗らかに、バンドの支えであり続けた。このフリーダという人の存在そのものが感動である。エプスタインも、ジョンもジョージも亡くなったし…と語るフリーダに、こちらも思わず涙が出そうになった。

構成はフリーダのインタビューと、当時の映像、写真、ポール・マッカートニーの叔母の証言(フリーダ評)ザ・ビートルズと親交のあったバンドのメンバーたちの証言(フリーダ評)などを組み合わせたものだ。60年代のリヴァプールの音楽シーンを知る上でも貴重な内容のものだと感じる。エンディングのほうには、元メンバーからのメッセージもある。オープニングからエンディングまで、各要素の配分がよく、まったく興味を削がせないすぐれた構成のドキュメンタリーだった。ザ・ビートルズの楽曲は数曲使われていたが、彼らがカヴァーした曲のオリジナルが多く流れた。

懐かしすぎて辛い。

(2013.12.7 角川シネマ有楽町にて)

映画公式サイト
posted by すいっち at 15:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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