2014年02月01日

『スノーピアサー』ジャパンプレミア試写会

監督:ポン・ジュノ
原作:「LE TRANSPERCENEIGE」ジャン=マルク・ロシェット、ベンジャミン・ルグランド、ジャック・ロブ
出演:クリス・エヴァンス、ソン・ガンホ、ティルダ・スウィントン、ジェイミー・ベル、オクタヴィア・スペンサー、ユエン・ブレムナー、コ・アソン、ジョン・ハート、エド・ハリス、ほか
原題:
2013年 韓国、アメリカ、フランス

大変前評判の高い作品で、ポン・ジュノ監督だから凄そう!観たい!と思って試写会に応募したところ、ラッキーにもポン・ジュノ監督が舞台挨拶するジャパンプレミアが当たった。会場は意外に小さなところだったので満席となり、入場できない人もいたそうだ。

舞台挨拶のMCは伊藤さとり。すぐポン・ジュノ監督もあらわれる。写真でしか知らなかったが、声が素敵で、40歳を越しているとは思えないくらい若い。挨拶の内容はすでに各所で記事になっているので書かないが、クリス・エヴァンスやジェイミー・ベルの起用の理由などとても真面目にいろいろ話をしてくれた。日本には鉄道ファンが多いので、興味を持ってもらえるのではないかと言っていたが、韓国はそうでもないのだろうか。途中から森脇健児と安田大サーカスの団長安田がゲスト登壇し、俄然しらけてしまった。いつになったら、映画と何の関係もないお笑いの人のゲスト登壇をやめるのだろう。お笑いを否定するわけではないが、場違いの感をぬぐえない。今回も、狭い会場なのに大声を張り上げて喋りまくり、耳が痛いほど。『スノーピアサー』第3弾を撮る暁には、自分たちを出演させてほしいと言い出すに至っては、ギャグだとわかっていても、あまりにバカバカしくてうんざりした。監督にもっと映画のことを喋ってもらいたかったのに、まったく時間の無駄だと思うし、監督にも失礼なのではないだろうか。団長が香川照之に似ているという話はちょっとウケたが、監督が「半沢直樹」を知らないのに、その真似をやったって意味ないだろう。この類いの映画宣伝のやり方には、大いに疑問がある。

さて肝心の映画の話に移ろう。『スノーピアサー』は近未来SFエンターテインメントと位置づけられている作品だ。地球温暖化を食い止めるために2014年に大気圏に人工冷却物質が散布されたが、そのために地球は冷えすぎて氷河期が到来してしまったのだ。永久機関を備えて走り続ける列車「スノーピアサー」に乗り込んだ乗客だけが生き残り、外の世界では生物は死に絶えてしまう。様々な国の人を乗せた列車は、地球を1年かけて一周し、止まることはない。列車内で自給自足が実現されているのだが、実は列車には、厳しい階級格差があった。先頭車両には富裕層、後方車両には貧困層と各階層の居住場所が決められており、富裕層が絶対君主の立場にあった。虐げられる貧困層の人々はいつの日か格差社会を打ち壊そうと機会を狙っていたが、2031年ついにその日がやってくる。

原作はフランスの漫画で、相当荒唐無稽な話なのだが、脚本のうまさと、名だたる俳優たちのおかげで、迫真の物語が出来上がっている。主人公は、後方車両を統率するリーダー、カーティス(クリス・エヴァンス)。長老として後方車両の精神的リーダーの役割を果たすのはギリアム(ジョン・ハート)。幼い息子のために戦う強い母親ターニャ(オクタヴィア・スペンサー)や、カーティスの右腕エドガー(ジェイミー・ベル)も主要人物だ。監獄車両に入れられている列車セキュリティー設計者のナムグン・ミンス(ソン・ガンホ)とその17歳の娘ヨナ(コ・アソン)。列車は17年間走り続けているために、ヨナは列車で生まれた子であり、外の世界を知らない。富裕層のほうには、スノーピアサーの創造者であり列車の最高権威者ウィルフォード(エド・ハリス)、ウィルフォードの片腕の総理メイソン(ディルダ・スウィントン)、不死身のスナイパー・フランコ兄弟の兄(ウラド・イヴァノフ)などがいる。これらの登場人物が極めて個性的である。とくにティルダ・スウィントンには度肝を抜かれた。つい先日『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』で見た美しき吸血鬼と同一人物が演じているとは到底思えない。メイソンの存在は、血なまぐさく過酷な列車内に強烈なコミカル要素をたたきつけてくれる。そして、やはりソン・ガンホ。意外に登場シーンが多くはないのだが、この人のおかげで作品に命が吹き込まれたと言っても過言ではない。

単なる善と悪の対立構造でないところに、この映画の一番の魅力があるのだろう。冒頭では貧民層の惨劇ばかり見せつけられるが、後半になると、なぜ列車が階級社会であるかの理由が分かってくる。

狭い車内のみの撮影というのは困難を極めただろうと思うが、巧みに車内調度と人物を配し、まったく不自然さを感じない。富裕層が使用する様々な車両(水族館、小学校、サロン、プール、クラブなど)が見られるが、これに多くの時間を割かなかったのが正解だったと思う。大変強烈で、大変面白い作品だったが、凄まじいバイオレンス要素がちょっと辛く、フランコ兄の不死身ぶりがちょっとリアリティーがなさすぎてしらけてしまう気分だった。一番びっくりしたのは、挿入歌にCREAMの"STRANGE BREW"が流れたことだ。大好きなナンバーだが、意外な選曲だったので理由を聞いてみたいものだ。

(2014.1.29 角川シネマ有楽町にて)

映画公式サイト
posted by すいっち at 09:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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