2014年02月16日

『ラッシュ/プライドと友情』

監督:ロン・ハワード
原案:アンドレス・ハインツ
脚本:ピーター・モーガン
出演:ダニエル・ブリュール、クリス・ヘムズワース、オリヴィア・ワイルド、アレクサンドラ・マリア・ララ、ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、クリスチャン・マッケイ、ほか
原題:RUSH
2013年アメリカ・ドイツ・イギリス合作

昔からF1レースが好きだった私は、これがF1を題材にした映画で、しかもF1ドライバーを俳優が演じると知って、かえってあまり見たくないなあと実は思っていた。あのレースの迫力と緊張感を俳優が出せるものだろうかと懐疑的だったからである。けれども、レビューが好評なので、それじゃあ観に行ってみようかと腰を上げた。

ニキ・ラウダ(ダニエル・ブリュール)とジェームス・ハント(クリス・ヘムズワース)という実在のF1ドライバー(ハントは1993年に死去)の対決というストーリーは、フィクションかと思うほど劇的なものであり、映画の題材にするにはうってつけだったということもあるが、レースやマシンの見事な再現性、主演二人のレーサーぶり、どこを取っても満足のいく仕上がりだったと認めざるを得なかった。カーレースに興味のない人にも、十分面白いと思ってもらえる作品だと思うし、もちろん昔からのカーレース・ファンには、1970年代のマシンやサーキットの様子など、懐かしさいっぱいの映像に堪能させられるだろう。私がF1に関心を持ったのは、彼らの次の世代といえるアラン・プロスト全盛の頃なので、ラウダとハントのライバル対決のことはほとんど知らなかったが(ラウダが大事故に遭ったという知識くらいしかなかった)、すんなり話にはとけこめた。

70年代半ば、絶頂期のハントと新進のラウダ。正反対の性格と生活信条を持つ二人は、人前で喧嘩もするし、罵詈雑言の応酬もする。二人の間にあったものはありきたりの「友情」というものではなかった。レーサーとしては常に敵同士である。しかし、相手の存在によって自らが鼓舞されるライバル関係を支えるのは、互いに対する目に見えない尊敬の念だ。この面が非常にうまく脚本に織り込まれていた。

1976年のシーズン。ドライバーズ・チャンピオン争いは、序盤からラウダがどんどんポイントを稼いでいて、ハントが後を追っていたが、ラウダの年間チャンピオンがほぼ確実視されていた。8月のドイツGP、最悪の天候の中強行されたレースで、ラウダがクラッシュ。炎に包まれ、ラウダは瀕死の重傷を負う。一時は牧師が枕元に呼ばれるほど重篤な状態だったが、彼は壮絶な治療の末に奇跡の生還を果たし、なんと6週間後のレースに復帰し、4位という好成績を収める。ラウダが入院しているうちにハントはポイントを稼ぎ、ラウダに3ポイント差まで肉薄していた。最終戦富士スピードウェイで行われる日本GPでラウダに4ポイント差をつければ、ハントは年間チャンピオンになる。運命の決戦の日、富士スピードウェイは豪雨。二人の運命のシグナルが青になる。

典型的なプレイボーイのハントと、真面目いっぽうのラウダ。この二人の性格の違いをあらわすエピソードが巧みに織り込まれた脚本がうまい。当時の二人の写真を見ても、ブリュールとヘムズワースのなりきりぶりは大したものだ。とりわけへムズワースの良さにびっくりした。マイティー・ソー役のへムズワースは、実は私はあまり買わない。顔が優しすぎて、強そうに見えないのだ。それにひきかえ、レース以外は酒と女に明け暮れるが、内面に繊細さのあるハント役は、本当にぴったりだった。ヘアスタイルも良かったかも知れない。ブリュールもその喋り方までもが、冷静なラウダにぴったりだ。

レースのシーンが何と言っても見応えがある。スピード感と耳をつんざく爆音に、やはり大きなスクリーンで観てよかったと感じた。いわゆるレース中継ではないので、カメラのアングルにかなりの工夫の跡が見られた。どう撮ると迫力があるか、どう撮ると格好いいか、その計算を重ねてできた映像だと思う。

(2014.2.15 ユナイテッド・シネマとしまえん にて)

映画公式サイト
posted by すいっち at 15:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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