2014年03月11日

『あなたを抱きしめる日まで』試写会

監督:スティーブン・フリアーズ
脚本:スティーブ・クーガン、ジェフ・ポープ
出演:ジュディ・デンチ、スティーブ・クーガン、ソフィー・ケネディ・クラーク、アンナ・マックスウェル・マーティン、ミシェル・フェアリー、バーバラ・ジェフォード、ほか
原題:Philomena
2013年イギリス

742席のホールに200名限定ということで、非常にゆったりと気持ちよく観ることのできる試写会だった。嬉しいことに、邦題から受けるイメージと予告編の印象より、ずっと深みのある良質のイギリス映画だと感じ、満足して帰って来た。

クレジットはされていないが、実在するアイルランド人主婦の体験をつづったノンフィクション『The Lost Child of Philomena Lee』(マーティン・シックススミス著)が原作で、それを映画化したものである。普通の生活を送っていたかに思えた主婦フィロミナ(ジュディ・デンチ)は、ある日娘のジェーン(アンナ・マックスウェル・マーティン)に50年間誰にも話さなかった秘密を打ち明ける。10代の頃、アイルランドでフィロミナは妊娠し、怒った親から修道院に入れられ、そこで息子を出産する。修道院で生活の面倒を見てもらう代わりに厳格なシスターたちの元、同じ境遇の少女たちとともにタダ働きをさせられ、息子に会えるのは1日たったの1時間。修道院で産まれた子供たちは、母親に無断で養子に出されることもしばしばだ。3歳になったフィロミナの息子アンソニーも、ある日知らない人たちに突然連れて行かれる。車が見えなくなるまで、息子の名前を叫び続けるフィロミナ。修道院は金銭と引き換えに、裕福なアメリカ人たちに養子を斡旋していたのである。

50年間1日たりともアンソニーを忘れたことのなく、彼の消息を知りたいと願うフィロミナのために、ジェーンは元ジャーナリストのマーティン(スティーブ・クーガン)に話を持ちかける。BBCを首になったばかりのマーティンは、フィロミナのことを記事にして起死回生を狙うべく、アンソニー探しに協力することになる。

単なる甘ったるいヒューマンドラマだったら嫌だなと思っていたが、そうではなく、よく練られた会話が絶妙で、アイルランドの風景や修道院のたたずまいもぐっとくるものがあり、見どころの多い作品だった。小説を読むのが好きで、マーティンに蕩々と筋を語るシーンや、看護師時代に慣れた罵倒の俗語を並べたてたり、そうかと思うとギャグが通じなかったり、フィロミナの人となりが実に楽しい。一方、カトリックにおける「肉欲」や「赦し」の観念など考えさせられるシーンも多かった。もちろんジュディ・デンチの安定した演技に負うところは多いが、修道院のシスター・ヒルデガード(バーバラ・ジェフォード)、若き日のフィロミナを演じたソフィー・ケネディ・クラークなど、助演陣も非常によかったと思えた。とりわけ、ソフィー・ケネディ・クラークは、1950年代の少女はこうもあろうかと納得させられる風貌と表情が素晴らしかった。

気に入らなかったのは邦題である。女性狙いが見え見えのこの手の甘ったるい邦題だけで観たくないと思う人も多いのではないだろうか。私も基本的にはそうである。

(2014.3.9 日本消防会館ニッショーホールにて)

映画公式サイト
posted by すいっち at 12:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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