2014年03月15日

『春を背負って』完成披露試写会

監督・撮影:木村大作
原作:笹本稜平「春を背負って」(文藝春秋刊)
脚本:木村大作、瀧本智行、宮村敏正
出演:松山ケンイチ、蒼井優、檀ふみ、小林薫、豊川悦司、新井浩文、吉田栄作、安藤サクラ、池松壮亮、仲村トオル、市毛良枝、井川比佐志、石橋蓮司、ほか
2014年

登壇者:木村大作、松山ケンイチ、蒼井優、檀ふみ、豊川悦司、新井浩文

久しぶりに完成披露試写会が当たり、新井浩文が来てくれるかなあと期待しつつ雨の中出かけた。開場30分前から試写状を座席指定券と引き換え、という手順なのだが、会場の仕切りが非常に悪く、引き換えに大変手間取り、進まない列にイライラさせられた。どうせなら、もっと早い時間帯から引き換えを始めれば、こんなに混雑しないのにと思うが、劇場ではないため、会場使用時間の制約があるだろうから無理だったのかも知れない。

司会のフジテレビ笠井アナが登場し、早速松山ケンイチを先頭に、キャストと監督が登壇。やっぱり新井浩文も来てくれた!と嬉しくなる。舞台挨拶の模様は各メディアがたくさん報道してくれているので、詳しくは書かないが、印象に残ったことを2つ3つ。松山、新井は二人とも身長180cmを越える背の高い方々だということは知っていたが、ちょうど二人の間に立った豊川悦司は、さらに頭半分も抜きんでている。本物は何度かお目にかかっているが、こんなに大きい人だったかとあらためてびっくり。あとで調べると、豊川は186cmもあるのだということがわかった。

撮影裏話の中心は、蒼井優の男性をしのぐ健脚ぶりと、檀ふみの、これも男性をしのぐ飲みっぷりだった。高山では女性が強いという話は時々聞く。私の同級生が学生時代にヨーロッパアルプスのモンテ・ローザに登ったとき、周りの男どもが次々と体調不良を訴えるなか、一人平気な顔でいたそうだ。生物学的に女性のほうが気圧の変化に強いのだろうか?それはともかく、松山ケンイチはよく喋る!MCの質問からはちょっとずれた内容になっても平気で、どんどん喋っていくので、時間制限が不安になったほどだ。

さて、映画の話に移るが、全体的な印象としては、木村監督の前作『劔岳 点の記』より、ずっと面白かったと言える。山の威容をこれでもかと見せつけた『劔岳 点の記』は、映像としては『春を背負って』に勝ると思うが、映画全体のバランス、物語の運びなどは『春を背負って』のほうが遙かに納得できるものだった。

舞台は立山連峰。3000mの山の上にぽつんと立つ菫小屋を営む長嶺勇夫(小林薫)が、滑落した登山者を救おうとして命を落とす。東京でやり手のトレーダーとして仕事をしていた息子の亨(松山ケンイチ)は、父の意志を継いで山小屋を運営していこうと決心する。菫小屋で働く若い女性・高澤愛(蒼井優)や、勇夫の大学の後輩で山のベテラン・ゴロさん(豊川悦司)らの助けを借りながら、新米の山小屋オーナーとしての亨の新しい生活が始まる。

山小屋開きの様子はとても興味深いものだった。まだ一面雪に覆われた尾根を一歩一歩山小屋に向かって登って行く。実際にキャストを登らせて撮る映像は、黙って観ているだけで迫力がある。厳冬期のあいだ仕舞っておいた布団を屋根に干す愛の姿が印象に残る。布団は春の恵の日光をいっぱいに浴び、蒼井優のくったくのない笑顔と相まって、もっともよいシーンだったと思う。麓で民宿を営む亨の母(檀ふみ)や、亨の幼馴染みの家具職人・聡(新井浩文)、山岳警備隊隊長の工藤(吉田栄作)など、人間関係も多彩だ。

試写会は劇場ではなかったため、スクリーンの大きさに不満が残る。これはどうしても大スクリーンで観るべき映画だ。そして満開の桜の背後にそびえる立山連峰の映像で始まる冒頭は、これが4月公開だったら良かったのにと思わせる素敵な季節便りだ。6月公開だと少し気が抜けてしまうかも知れない。

欲を言えば、主人公の亨にカタルシスがあまり感じられず、平板に思えた。膨大な金額を机上で動かす仕事になんとなく嫌気がさして…という程度の動機で山小屋を継ごうと考えたように見えてしまうのである。むろんそこには父や父の仕事の偉大さに対する思い、人々との繋がりの温かさなど、亨を後押しした感情がたくさんあるはずなのだが、それがあまり伝わって来なかった。そして、ラストシーンもあまりピンと来ないものだった。

(2014.3.13 渋谷公会堂にて)

映画公式サイト
posted by すいっち at 10:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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