2014年06月06日

『グランド・ブダペスト・ホテル』ジャパンプレミア試写会

監督/脚本:ウェス・アンダーソン
出演:レイフ・ファインズ、トニー・レヴォロリ、F・マーレイ・エイブラハム、マチュー・アマルリック、エイドリアン・ブロディ、ウィレム・デフォー、ジェフ・ゴルドブラム、ジュード・ロウ、ビル・マーレイ、エドワード・ノートン、シアーシャ・ローナン、ジェイソン・シュワルツマン、ディルダ・スウィントン、ドム・ウィルキンソン、オーウェン・ウィルソンk、ほか
原題:THE GRAND BUDAPEST HOTEL
2013年イギリス=ドイツ合作

ゲスト:道端アンジェリカ、柳沢慎吾、小林星蘭

友人が試写会に当たったと誘ってくれたので、喜んで同行したら、これがジャパンプレミア試写会だった。開場少し前に着くと、映画館入り口の屋外に小さな舞台が出来ていて、道端アンジェリカと柳沢慎吾がマスコミに囲まれている姿が垣間見られ、ああ今日のゲストはこの人たちかとわかる。ゲストによる舞台挨拶は結構時間がたっぷりあり、MCの伊藤さとりに促されるままに、柳沢慎吾が「ひとり甲子園」などの持ちネタを披露したり、翌日の報道を意識したと思われるイベントとなった。それでも、この映画のテイストとは何の関連もなさそうな、このお三方による舞台挨拶は、どうもピンと来なかった。

映画は、ミステリーだと聞いていたのだが、まったく予想と異なるタイプのものだった。ウェス・アンダーソン監督作品としては『ダージリン急行』を観たことがあることに後で気がついたが、そういえば『ダージリン急行』のときとほとんど同じ感想が頭に浮かんだ。すなわち、いかにも面白そうで、道具立ても細部まで凝っていて、俳優は達者で、これでつまらないはずはないと思えるのだが、あにはからんや、私の好みにはまったく合わなかったのである。

物語はかつてヨーロッパ最高級のホテルで、今ではすっかりさびれてしまったグランド・ブダペスト・ホテルのオーナー、ゼロの思い出という形で語られる。1930年代、彼がベルホーイだった時代に、師匠にあたる伝説のコンシエルジュと言われるグスタブ・H(レイフ・ファインズ)の身に降りかかった事件があった。グスタブ・Hは客のマダムたちの夜のお相手も辞さない究極のおもてなしで人望を博していた。ある日、長年懇意のマダム・Dが何者かに殺され、マダムの遺言で名画を遺贈されたグスタブ・Hが犯人と目されてしまう。彼はゼロをともなって、ゼロの婚約者アガサ(シアーシャ・ローナン)や、コンシエルジュの秘密結社の助けを借りながらヨーロッパ中を逃げ回る。事件の真相やいかに。

グスタブ・Hとゼロとの交流がストーリーの核をなしているが、名高い俳優たちが数多く次々と登場し、一種の群像劇とも言えるだろう。そしてウィットに富んだというよりも、お笑いのコントのようなシーンを積み重ねてゆく。これが残念なことに、私にはまったく面白いと思えなかった。そのドタバタした人の動きが邪魔して、せっかく凝っているホテルの調度や素敵な食べ物などをゆっくり味わう暇もない。殺人事件だから犯人がいるわけだが、どうも誰も本当の悪人と思える人はおらず、そのぶんミステリー色が薄い。

冒頭の、グランド・ブダペスト・ホテルのロケーションを観て、これはリアリティーがないなとまず思ったのを覚えている。戦争の足音が近づいてはいるものの、一般人にとってはまだほのぼのとした時代であり、そういったことを考え合わせると、ミステリーに名を借りた、古き良き時代の素敵なホテルのファンタジー風物語(「素敵な」はホテルを形容するのであり、物語を形容するのではない)と理解できる。ややトーキー時代を思わせるような俳優たちの身振りも、溶け込めない理由のひとつだった。『ダージリン急行』を気に入った人なら、おそらくこの映画も気に入るだろうし、日本映画でいえば三谷幸喜監督作品が好きな人には高評価なのではないかとも想像する。

印象に残った俳優は、ティルダ・スウィントンとシアーシャ・ローナン。ティルダは今回もまた演技の幅の広さをみせつける圧倒的な存在感を見せていたし、シアーシャは、この時代の雰囲気にうまく染まり、バレエの主役のような優雅さで、新鮮な風を送り込んでいた。

(2014.6.4 TOHOシネマズ六本木にて)

映画公式サイト
posted by すいっち at 00:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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