2014年10月03日

『イヴ・サンローラン』

監督:ジャリル・レスペール
脚本・脚色:マリー=ピエール・ユステ、ジャック・フィエスキ
出演:ピエール・ニネ、ギョーム・ガリエンヌ、シャルロット・ルボン、ローラ・スメット、マリー・ドビルパン、ニコライ・キンスキー、マリアンヌ・バスラー、ほか
原題:Yves Saint Laurent
2014年フランス

このところ日本映画ばかり観ていたので、フランス映画を観たくなり、時間と場所が都合の良いこれを選んだ。フランスのファッション界のカリスマ的デザイナー、イヴ・サンローランの伝記映画である。主演のピエール・ニネが若き日のサンローランにそっくりという評判だけは知っていたが、何も事前情報を仕入れずに行った。

サン・ローランは、デザイナーとして、またブランド名としてはもちろん良く知ってはいるものの、彼のプライバシーについては何も知らなかったので、伝記といってもフィクションを観るように、新鮮な気持ちで観ることができた。見終わったときは、彼のデザイナーとしての才能や、作品の美しさではなく、彼の個人的な愛憎の物語ばかりが記憶に残ったが、それはむしろ制作側の意図するところだったのだろう。

クレジットには、ロランス・ベナイム(本当にベナイムと読むのかどうかわからず、ブナイムかも知れないが、多くの映画情報サイトではベナイムと書かれている)著の『YVES SAINT LAURENT』という伝記を自由に翻案したものであるとしてある。ただ、原作扱いではないようだ。この映画は、サン・ローランの恋人であり仕事上のパートナーでもあるピエール・ベルジェの視線から描かれており、それがおそらく上記の著作とは大きく異なっている点なのだろう。この描き方は悪くない。

ストーリーはイヴとピエールとの運命的な出会いから、破局を迎えるまでを綴ったものだ。観る前は、題材から考えてPG12なのが不思議だったが、サンローランの男性とのラブシーンが結構あるので、なるほどと納得。イヴとピエール二人の愛が物語の中心になっていることは間違いない。そして、ディオールのミューズであったモデルのヴィクトワール(シャルロット・ルボン)とピエールとを交えた奇妙な三角関係や、カール・ラガーフェルトらとの交流などが、事情を良く知っている人には面白いところなのだろうが、いくら著名なデザイナーといっても、そのプライバシーには興味を持っていなかっただけに、よく関係がわからず、こういうことなのかなと、想像を巡らしながら観ているほかはなかった。

私としては、ピエール・ベルジェ本人が全面協力をして、サンローランの本物のコレクションを映画で使用しているということだったから、もっとそのモード面に期待していたのだが、意外に訴えかけて来なかった。女性たちにしても、なぜディオールに気に入られていたのか、なぜサンローランに気に入られていたのか、その理由が頷けるほどには描かれていなかったと思う。おそらく、最も注目すべきは、主演のピエール・ニネによるサンローランの再現性なのだろう。その面では、実際には知らなくても、こういう人だったのだろうと思わせる説得性は十分だったと思えた。


(2014.9.27 シネリーブル池袋にて)

映画公式サイト
posted by すいっち at 23:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。