2014年11月03日

『美女と野獣』(2014)

監督/脚本:クリストフ・ガンズ
出演:レア・セドゥ、ヴァンサン・カッセル、アンドレ・デュソリエ、イボンヌ・カッターフェルト、ほか
原題:La Belle et La Bête
2014年仏独合作

あまりにも有名なフランスの古い物語『美女と野獣』は、これまでに数多くの翻案を生み出し、映像化、アニメ化、舞台化されている。おそらく一番有名なのは、私は観ていないがディズニーのアニメなのだろう。この物語がヴァンサン・カッセルとレア・セドゥで実写化されるとあっては、観ないわけにはいかない。二人とも大好きな俳優さんだからである。実際、このキャスティングは本当に素晴らしかった。レア・セドゥは心根が優しく、美しいけれども芯が強く、好奇心旺盛な娘としてのベルを魅力的に演じ、ヴァンサン・カッセルは、悲しい過去を持ち、凶暴ではあっても愛を待ち望んでいる存在としての野獣を、情感たっぷりに演じている。二人の年齢差にもかかわらず、ラブストーリーを演じて違和感を感じさせない雰囲気作りはさすがだ。

全体として、ダークファンタジーを思わせる画作りだ。おどろおどろしい野獣の居城、それを取り巻く鬱蒼とした不気味な森だけでなく、登場人物の衣装も、多くは沈んだ配色(ベルの衣装だけは明るい色が多いが)で、贅沢な質感を感じさせるものだ。衣装は本当に見事である。薔薇の咲き乱れる城内や庭園も、美しいばかりでなく、不穏さも併せ持ったしつらえとなっている。この舞台装置が非常に気に入った。

物語は、昔話の本を母親が幼い子供に読み聞かせるという導入の仕方をとっている。子供たちが目を輝かせて話の続きをせがむように、観客にも早く続きを観たいと思わせる仕掛けだ。巷間に知られているボーモン夫人版(オリジナルのヴィルヌーヴ夫人版を縮めたもの)の物語には描かれていない野獣の過去についての描写を採り入れたことが、今作の特徴であるらしい。脚本においても演出においても、そこが苦労したポイントなのだろうが、私はそこだけが、ちょっと現代的な処理に思えて、気に入らなかった。具体的に言えば、野獣の城に出没する小さき者たちである。これが何をあらわすのかはすぐ気づいたが、CG以外の何物でもない彼らの造作に、ややシラけたというのが正直なところである。これが『ハリー・ポッター』シリーズや、アニメだったら、これでも良かったのだろうが、全体の古色蒼然としたトーンとミスマッチに思えたのである。そして、巨大な石像もそうだ。これが現代的な作り物の域を出ていないように感じる。

それ以外の点は、野獣の過去についても、なるほどと思わせる説得力があり、決して単なるお伽噺中の王子さまのように無垢な存在ではなく、傲慢だった過去の自分に常に向き合わされて苦悩する獣とされていて、物語の厚みを感じさせてくれた。

≪Plus que tout au monde.≫(プリュスク トゥート モンド)「誰よりも愛しい」、馬の耳にささやくまじないの言葉が耳に残る。

なお、『美女と野獣』はディズニーも実写版を製作中で、ベルをエマ・ワトソンが演じるとか、当初メガホンを取る予定だったデル・トロ監督が降板したとか、いくつかの噂が聞こえてきている。エマのベルも観てみたいなあと思う。

(2014.11.2 ユナイテッド・シネマとしまえん にて)

映画公式サイト
posted by すいっち at 14:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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