2015年05月05日

『セッション』

監督/脚本:デイミアン・チャゼル
出演:マイルズ・テラー、J・K・シモンズ、メリッサ・ブノワ、ポール・ライザー、オースティン・ストウェル、ネイト・ラング、ほか
原題:WHIPLASH
2013年アメリカ


DFA_4072.JPGこのところ、ちっとも映画館に足を運ばないので、連休くらいは何か観に行かなくてはと、オープンしたばかりのTOHOシネマズ新宿へ出かけた。この劇場で観たいものは、3本程度あったのだが、良い席の残っていた『セッション』を観ることにした。歌舞伎町にシネコンが出来たことで、確かに人の流れが変わったようだ。新しいシネコンに人気が集まったのか、地の利の良さか、連休まっただ中のせいか、最近ないほどの盛況で、どのスクリーンも満席のようだった。

オスカーを3部門で獲得し、前評判が非常に高かっただけあって、大変スリリングで面白い作品だった。これを選んで良かったと思える。原題の"WHIPLASH"は劇中で何度も演奏されるジャズ・ナンバーのタイトルである。わかりやすくしたかったのだろうが、邦題を『セッション』にする積極的理由はないような気がする。『ウィップラッシュ』でもよかったのでは?

アンドリュー・ニーマン(マイルズ・テラー)は、名門の音楽大学に入学したばかりの1年生。ジャズドラマーとして超一流になるのが夢だ。その彼が伝説の鬼教師と言われるフレッチャー(J・K・シモンズ)の目にとまる。フレッチャーのバンドで成功すれば、各方面からのスカウトが殺到し、偉大な音楽家としての道が開かれる。有頂天になったニーマンだったが、フレッチャーの完璧を求める過酷なレッスンは、ニーマンの想像の域を遥かに超えていた。人格を全否定するほどの罵声を浴びせる、平手打ちをする、スティックを握る手から血が出ても容赦はしない、罠を仕掛ける。常識を越えた狂気のレッスンに、ニーマンの精神は徐々に追い詰められて行く。師弟という人間関係だけでは理解し得ない二人の対決の結末は?

フレッチャー鬼教師ぶりがまず見ものだ。台詞の激しさ、表情もさることながら、J・K・シモンズの身のこなしが素晴らしい。とりわけ腕と手の動き。これをカメラが実に効果的に捉えている。アカデミー賞でシモンズは助演男優賞に輝いたのだから、彼の演技の素晴らしさは私などが指摘するまでもないことだが、のほほんとしていたニーマンの表情が徐々に変貌していくところも注視に値する。名門大学に入学して、家族からはちやほやされ、ニーマンはやや高慢ちきなところがあった。それが、フレッチャーに徹底的に痛めつけられることによって、プライドに揺らぎが生じ、彼の人格は根底から揺さぶられることになるのだが、その少しずつの変化をマイルズ・テラーはうまく演じていたと思う。

脚本も映像も俳優もみな良かったし、レッスンやコンサートのシーンは満足だが、それ以外のシーン、例えばニーマンと父親とか、ニーマンと女の子のデートシーンなどで、印象があまり変わらないように思えたのだ。これはわざとそうしたのかも知れないが、もうちょっとメリハリがあってもよかったかなと感じる。ジャズ以外のシーンでの、おまけ的な印象が拭えなかったからである。

(2015.5.4 TOHOシネマズ新宿にて)

映画公式サイト
posted by すいっち at 14:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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