2016年05月06日

『リップヴァンウィンクルの花嫁』

監督・脚本:岩井俊二
出演:黒木華、綾野剛、Cocco、原日出子、地曳豪、和田聰宏、毬谷知子、夏目ナナ、金田明夫、りりィ、ほか
2016年

いろいろ落ち着かない日々を過ごしている間に、もう観てから3ヶ月以上も経ってしまい、記憶もほとんど薄れてしまったが、次の記事を書くために、一応感想を書いておかねばなるまい。これは好き嫌いがはっきり分かれる映画だと思うが、私には全然だめだった。黒木華、綾野剛といった好きな俳優さんが主演なのに、つまらなかった大きな理由のひとつは、黒木演じる七海のキャラクターが、近年よくある設定の、ウジウジして自己主張のできないもどかしすぎる女性で、これっぽっちも共感できなかったことにある。これを等身大と称するのかも知れないが、映画の中でまで、こういう自ら不遇を招くようなタイプの人物像を見たいとは思わないのだ。そのように嫌気を催させるほど黒木華が上手いと言えるのだろうが、エンディングに向かって七海のアイデンティティが解放されるまで忍耐力が続かない。

一方、綾野剛演じる安室のキャラクターは、変幻自在の謎の男で、こちらは躍動感があり、決して善人ではないのにむしろ魅力的に見える。

まったくの個人的な嗜好によるのだが、Coccoが私はどうにもこうにも苦手だ。その純粋さが痛々しく、見ていられないほどの居心地の悪さを感じる。彼女の登場場面だけ、フィクションではなくドキュメンタリーであるかのような生々しさなのだ。作品自体、現実とも夢ともつかぬ部分はあるのだが、そのふわりとした手触りのところを、荒々しく引っ掻いてずたずたに切り刻むと言ったら良いだろうか。彼女の存在感がそれ以外の要素をすべて覆い隠してしまっている。毒をはらんだ作品は私は好きなのだが、これは実に後味の悪い映画だった。
(2016.5.6 テアトル新宿にて)
posted by すいっち at 23:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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